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治療のポイント
・上気道閉塞の徴候・症状に気付いたら,気道管理に精通したスタッフを招集し,気道確保困難症のために必要な物品を準備するか,これらの整った部署にすみやかに患者を移動させる.
・完全閉塞に陥る前の重篤な上気道閉塞であっても,強い呼気努力と呼吸数増加で代償している間はSpO2 は低下しないため,SpO2 が保たれているからといって気道閉塞の重症度を過小評価してはならない.
・完全閉塞に陥る前にその徴候・症状に気付き,薬物療法や器具を用いた気道確保を行う.
・気道開通の評価は,波形表示呼気二酸化炭素モニターで行う.
◆病態と診断
・上気道とは,鼻腔・口腔・咽頭・喉頭(声帯を含む)までを指す.
・内因・外因のさまざまな原因によって閉塞をきたしうる.原因として,舌根沈下,感染・炎症による腫脹(急性喉頭蓋炎,扁桃周囲膿瘍,咽後膿瘍,気道熱傷),アナフィラキシー,遺伝性血管性浮腫,鼻腔・口腔・咽頭からの出血(鼻出血,扁桃腺摘出後,咽喉頭・舌腫瘍摘出後など),抜管後喉頭浮腫,腫瘍,分泌物,異物などが挙げられる.
・完全閉塞に陥ると体内酸素の枯渇に伴いチアノーゼが出現し,意識を失い,数分で徐拍化し,無脈性電気的活動から心静止に移行する.
・不完全閉塞では,嗄声,吸気時の狭窄音,呼吸補助筋(鎖骨上窩,肋間筋,腹筋など)の使用,シーソー呼吸,嚥下困難などが出現する.
・救命のためには,できるだけ完全閉塞に陥る前にこれらの徴候・症状に気付き,薬物投与や器具を用いた気道確保を行う.
◆治療方針
A緊急対応
緊急コールを行い,気道管理に精通したスタッフを招集するとともに気道確保困難症に必要な物品(バッグマスク,気管チューブ:成人では内径6.0mm,エアウェイ各種,声門上気道確保器具,気管支鏡,通常の喉頭鏡,ビデオ喉頭鏡,ブジー,輪状甲状靭帯切開に必要な備品,吸引装置など)を準備するか,これらの整