頻度 ときどきみる(電撃症)
頻度 あまりみない(雷撃症)
治療のポイント
・初期評価と安定化ののち,できるだけ早期に熱傷専門施設に転送する.
・電撃傷においては,体表の熱傷面積から計算される量よりも多い輸液を要する.
・心筋への通電により致死的不整脈を生じうるため,電気的除細動や抗不整脈治療を要することがある.
・筋組織,神経・血管損傷により四肢のコンパートメント症候群を生じやすく,減張切開が必要になることがある.
・雷撃傷はほぼ致死的であるため,予防教育が重要である.
◆病態と診断
A病態
・体に電気が通り,組織損傷が生じた外傷を電撃傷と定義する.電線などの接触などによる高電圧(1,000V以上)電撃傷と,家庭用コンセントへの接触などによる低電圧電撃傷に分類される.
・皮膚,脂肪,腱,骨は電気抵抗が高いのに対し,神経,血管,筋肉では低い.電気抵抗の高い組織では熱による損傷が,低い組織では電流による損傷が起こる.
・皮膚の損傷としては,電流斑(電流出入り口部の潰瘍,炭化,凝固壊死),着衣着火による熱傷が起こる.
・神経合併症(意識障害,脊髄損傷による四肢麻痺,遅発性精神症状),心合併症(心室細動など),血管合併症(動脈瘤),腎合併症(高ミオグロビン血症による急性腎不全),眼合併症(白内障)が起こりうる.墜落や転倒に伴う外傷を合併することがある.
・低電圧損傷においては,深部組織損傷を伴うことはまれであるが,小児がコンセントをなめることなどによる口唇部の損傷を生じうる.
・雷撃傷は雷の電流による電撃傷である.脳損傷による呼吸停止と,心損傷による心停止をきたしうる.
B診断
・診断としては,病歴,電流斑などが根拠となる.さらに,コンパートメント症候群に伴う筋原性酵素上昇(クレアチンキナーゼなど)が参考になる.コンパートメント内圧測定は減張切開の適応の判断を目的に行われる.
◆治療方針
初期評価と安定化ののち,で