GL熱傷診療ガイドライン〔改訂第3版〕(2021)
GL創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン―6:熱傷診療ガイドライン(2017)
治療のポイント
・受傷直後の患部の十分な冷却が最も重要である.
・初療時は浅達性Ⅱ度熱傷面をターゲットとした治療を行う.
・手指などの関節部が2週間で上皮化しない場合,専門施設への紹介を考慮する.
◆病態と診断
A病態
・表皮までの傷害をⅠ度熱傷とよび,傷害部位の発赤や疼痛のみで水疱や潰瘍化は生じない.
・真皮浅層までの傷害を浅達性Ⅱ度熱傷(SDB:superficial dermal burn)とよび,水疱を形成し疼痛を伴うが,真皮内の皮膚付属器は傷害されず,すみやかな上皮化が期待でき,瘢痕は軽微あるいは残さず治癒することが多い.
・真皮深層までの傷害を深達性Ⅱ度熱傷(DDB:deep dermal burn)とよび,SDBと同様に水疱を形成し疼痛を伴うが,皮膚付属器は傷害されているため上皮化には時間がかかり,瘢痕化して治癒することが多い.また,容易にⅢ度熱傷に移行する.
・真皮以深に傷害が及ぶものをⅢ度熱傷とよび,傷害された皮膚組織が壊死し焼痂を形成,焼痂が脱落後は熱傷潰瘍を呈する.
B診断
・初療時の深達度判定は難しく,経過により深達度は変化するため,継続的に深達度を判断することが重要である.
・それぞれの熱傷深達度について以下の項目を目安として診断する.
1)Ⅰ度熱傷:創面は発赤しヒリヒリ感を訴えるが表皮の剥脱は認めない.
2)SDB(浅達性Ⅱ度熱傷):水疱を形成し,痛みが強い.創面の真皮はピンク色である.適切な治療により2週間ほどで上皮化する.
3)DDB(深達性Ⅱ度熱傷):水疱を形成しているが初診時にはすでに破れていることが多い.創面刺激による疼痛はある.創面の真皮は白色である.2週間では上皮化しない.
4)Ⅲ度熱傷:表皮は炭化,あるいは用手的に容易に剥脱する.針で創面を刺し