診療支援
治療

四肢開放骨折
open fracture of the extremities
土田芳彦
(湘南鎌倉総合病院・外傷センター長(神奈川))

頻度 ときどきみる

ニュートピックス

・Gustilo-Anderson分類ⅢB/Cの重症開放骨折において,骨接合術と軟部組織再建を同時に行う「整形形成外科的治療」によって,良好な治療成績が獲得されるようになってきている.

・専門施設への転送が治療の鍵である.

治療のポイント

・標準的な初期治療を完遂することが重要であり,それは可及的早期の抗菌薬投与,過不足ないデブリードマン,創外固定による骨安定化である.

・デブリードマン後に損傷状態を評価するが,重症例は転送を直ちに考慮する.

・整形形成外科的治療により良好な治療結果が得られる.

◆病態と診断

A病態

・開放骨折は骨折部と外界が交通したものであり,軟部組織の破綻,骨活性の低下により,偽関節や骨髄炎などの重篤な合併症を生じやすい.

B診断(分類)

・開放骨折の診断は容易であり,重症度の判断が重要である.

・重症度分類としてGustilo-Anderson分類が汎用されている().

◆治療方針

A抗菌薬投与

 救急初療室で可及的早期(3時間以内)に抗菌薬を投与する.Gustilo Type Ⅰ,Ⅱでは第1世代セフェム系を24時間投与する.Type Ⅲであれば第1世代セフェム系にアミノグリコシドを加え3~5日間投与する.

Bデブリードマン

1.デブリードマンの時期

 過去,6時間以内のデブリードマン施行が推奨されていたが,現在の見解では時期は重要ではないと考えられている.いかに早く施行するかよりも,いかに十分に行われたかの質が重要とされている.

2.デブリードマンの質

 デブリードマンは表層から深層へ,周囲から中心へと体系的に施行する.デブリードマンの目的は外傷創を外科創にする(すなわち骨接合術施行に適当な状態にする)ことである.不良な組織をすべて除去する急進的手法もあるが,通常は数回に分けて行う段階的手法が一般的である.

C骨安定化

 通常は創外固定を使用して骨折部の

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?