頻度 情報なし
治療のポイント
・代謝性アシドーシスが治療の主な対象となる.
・全例に動脈血液ガス検査を行い緊急血液浄化療法の適応をすみやかに検討するとともに,アニオンギャップの計算により原因を推定し基礎疾患への介入を行う.
・予測PaCO2 値を求め実測値と比較し,呼吸性アシドーシスや呼吸性アルカローシスの合併を評価する.
・炭酸水素ナトリウム静脈内投与は予後改善のエビデンスに乏しい.
◆病態と診断
A病態
・急性酸塩基平衡障害は生命にかかわる重大な病態であり,原因となる病態への治療を含めてすみやかな介入が必要である.
・体液の酸と塩基との組成割合は一定に維持されており,したがってそれに依存するpHも7.4付近に維持されている.しかし,代謝産物としてのCO2 産生,筋肉運動に伴う有機酸,乳酸,ピルビン酸などの増加,病的状態におけるケトン産生など,常に酸塩基平衡は酸性へシフトする傾向を有している.そのため体内には多くの酸塩基平衡を緩衝する仕組みがあり,代表的なものとして血液による緩衝,呼吸によるCO2 排泄,胃からの酸・塩基排泄およびHCl分泌,消化管へのリン酸の排泄などがある.
・中でも重要な緩衝系の1つとして血液による緩衝があり,化学的には重炭酸-炭酸緩衝系,リン酸塩緩衝系,蛋白緩衝系に分類されるが,最も重要なのが重炭酸-炭酸緩衝系であるといわれている.
B診断
・動脈血液ガスにおいてpH<7.15かつPaCO2<35mmHgを認めた場合は,純粋な代謝性アシドーシスと判断してよい.
・代謝性アシドーシスの診断がついた場合は,アニオンギャップを〔Na+-(Cl-+HCO3-),正常値は12±2mEq/L〕の式で概算することにより,その原因を鑑別することができる.アニオンギャップの増加は血中の不揮発性酸が増加した代謝性アシドーシスの際に認められ,糖尿病性ケトアシドーシス・アルコール性ケトアシドーシス