治療のポイント
・ECMOには,循環不全に対する心臓ECMO,呼吸不全に対する呼吸ECMO,心肺停止に対する蘇生ECMO(ECPR)の3種がある.
・呼吸ECMOは,人工呼吸開始後72時間以内の導入が予後を改善する可能性がある.
・心臓ECMOは,大動脈内バルーンパンピング(IABP:intra-aortic balloon pumping)と比較して30-day Survivalを改善する可能性が高いため,IABPから心臓ECMOへのスイッチは適切に判断する必要がある.
・蘇生ECMOの適応は拡大傾向であり,その導入は心停止発生から20分以内が目安となりつつある.
AECMO概論
ECMOとは,遠心ポンプによって血液を脱血し,膜型人工肺にて酸素化したのちに体内へ返血する生命維持装置である.ECMOには,静脈(V)で脱血し,動脈(A)へ戻すことによって呼吸と循環の補助を行うV-A ECMOと,静脈(V)で脱血し,静脈(V)へ戻すことによって呼吸補助のみ行うV-V ECMOという2つのモードがある.
B重症呼吸不全に対するECMO
重症呼吸不全(重症ARDS)に対し,呼吸ECMOが適応になり,V-V ECMOが選択される.ガス交換の主体を人工肺に委ねて,自己肺を使わず,肺そのものを休める「lung rest」の概念が重要である.
呼吸ECMO導入基準の標準的なものとして,ELSO(Extracorporeal Life Support Organization)の「Guidelines for Adult Respiratory Failure」による基準がある.同ガイドラインでは,低酸素血症を伴う呼吸不全では死亡率が50%以上と想定される場合にECMO導入を考慮し,80%以上の場合に適応があるとしている.また,人工呼吸管理下においても制御不能の高CO2 血症や,重度のエアリーク症候群,
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