治療のポイント
・生体内のエネルギー代謝には,酸素の供給によりミトコンドリアの電子伝達系でATPが産生される.
・酸素供給には適切な換気,ガス交換,循環系,ヘモグロビン量が関与しているが,このシステムに支障をきたすと組織内で低酸素血症が発生する.
・酸素投与により組織での低酸素血症を改善させ,細胞機能を改善させる.また,重症患者では種々の臓器が傷害されているため,組織の回復には組織酸素代謝の管理が重要である.
・酸素の過剰投与は急性冠症候群や急性脳卒中などで予後を悪化させる.SpO2 94%程度を目安に,病態により投与量を調節する.
A酸素療法のモニタリング
血液ガス分析装置を用いて血中の酸素分圧や二酸化炭素分圧を測定し,患者の呼吸状態を把握する.ベッドサイドで連続的にパルスオキシメーターにより酸素飽和度を測定する.
B酸素投与療法の実際
1.鼻カニューレ
両鼻腔に短い管を挿入して酸素を投与する.鼻咽頭