診療支援
治療

動脈穿刺,動脈カテーテル留置法,観血的血圧測定法 [■血管穿刺]
☆☆
arterial puncture,placement of an arterial line,continuous monitoring of blood pressure
上田健太郎
(和歌山県立医科大学准教授・救急・集中治療医学)

Ⅰ.動脈穿刺(1回穿刺手技)

A適応

 通常は動脈血ガス分析のために行われる.静脈からの血液検体採取が困難な場合も適応となる.

B穿刺部位

 四肢動脈で穿刺可能である.一般的には,穿刺が容易である大腿動脈が第1選択である.

C手技(大腿動脈)

 まず大腿動脈の解剖学的位置を理解する必要がある.鼠径靭帯(上前腸骨棘と恥骨結節を結んだ線)2横指ほど足側で動脈拍動を確認し,穿刺点とする.動脈血ガス分析のためであれば市販の穿刺キットを,採血であれば採血量に応じたシリンジと22Gの注射針を用いる.穿刺部位をアルコール綿で消毒し,左手の示指と中指で大腿動脈を左右から挟み込んで固定し,指間部から垂直に穿刺する.採血後は直ちに抜針し穿刺部をしっかり圧迫止血する(5~10分間).圧迫を解除しても皮下の膨隆がなければ止血は完了である.

D合併症

 動脈硬化の強い高齢者,抗血小板薬や抗凝固薬を内服中の患者では穿刺部からの止血が

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