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治療

骨折の創外固定法 [■外傷処置]
☆☆
external skeletal fixation
大饗和憲
(広島大学教授・四肢外傷再建学)

 骨折の治療は骨折部の安定化であり,転位の少ない骨折に対してはギプスやシーネによる外固定で保存的に加療を行う.一方,転位の大きな骨折や早期のリハビリテーションを要する場合は手術療法が選択される.通常の手術療法では骨折部を直接インプラントで固定する内固定を施行するが,何らかの理由で内固定ができない場合,創外固定が選択される.

 創外固定とは,骨折部をまたいで両端の骨にピンやワイヤーを経皮的に数本挿入し,骨折部の転位を可能な限り整復したうえでフレーム(創外固定器)に連結し,骨折を皮膚の外で固定する方法である.外固定にくらべて強固に固定でき,内固定にくらべて低侵襲で行えることから有用な方法である.

A創外固定器の種類

1)Modular型:ピンを任意の位置に挿入できるため自由度が高く,一時的創外固定に広く用いられる.

2)Unilateral型:ハーフピンを片側より挿入する.強固だが自由度が低い.

3)Circular型:貫通鋼線やハーフピンを挿入し,リング状のフレームで固定する.強固であり,変形矯正を行いやすい.

B創外固定の目的

1.一時的創外固定(Temporary)

 急性期に創外固定で一時的に固定し,その後状態が落ち着いてから内固定を施行する(conversion),いわゆるダメージコントロールとして使用するのが一時的創外固定である.

a.適応

1)骨折部の腫脹が強くインプラントによる内固定が行えない場合

2)開放骨折で感染が危惧される場合

3)軟部組織の損傷が強く内固定が困難な場合

4)重症外傷・多発外傷で全身状態の問題から内固定手術が行えない場合

2.根治術としての創外固定(Definitive)

 一時的創外固定に対して創外固定を最終固定とする方法で,創外固定により治療を完結する.骨癒合だけでなく変形矯正を目的として使用することもある.

a.適応

1)内固定が不可能な関節近傍の粉砕骨折

2)深部感染

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