治療のポイント
・危機的な状況において緊急の輸液路確保にあたり末梢静脈路が第1選択であるが,迅速な末梢静脈路確保が困難な場合,第2選択として一時的に骨髄内輸液が利用される.
・特に乳児ではよい適応となるが,あらゆる年齢で適応となる.
・16~18Gの穿刺針(原則的に内筒付き)を脛骨近位内側などから穿刺する.
・用手的に穿刺する方法と専用電動ドリルなどの器具を用いる方法がある.
A適応
心停止やショックなど危機的な状況において,緊急で静脈内に薬剤を投与する必要があるにもかかわらず,迅速な末梢静脈穿刺が困難な場合,または困難が予想される場合に適応となる.緊急時の輸液路確保としては,中心静脈路確保やカットダウンによる静脈路確保より優先される.
小児(特に末梢静脈路確保が困難な乳児)がよい適応であるが,新生児から高齢者まで,あらゆる年齢で適応となる.
静脈内投与できる輸液製剤,血液製剤,薬剤は,すべて骨髄内輸液路から投与可能である.
B禁忌
1)骨折している骨,または骨髄内輸液を試みて穿刺針が骨皮質を貫きながら留置に失敗した骨への穿刺.
2)穿刺部より近位の血管損傷が強く疑われる場合,穿刺部周辺の損傷や感染巣が存在する場合.
C準備
一般的には内筒針付きの16~18G穿刺針が使用される.本邦では骨髄内輸液専用針として,ディックマン骨髄内インフュージョンニードル(Cook Medical社:用手式),イリノイ骨髄穿刺針(日本ベクトン・ディッキンソン社:用手式),Arrow EZ-IO(Teleflex社:電動ドリル式)がある.手技の容易さ,使用コスト,小児用と成人用の準備の必要性などの観点から各医療機関で選択し配備される.穿刺には専用の骨髄穿刺針を用いることが望ましいが,代替品として骨髄検査用の骨髄穿刺針や硬膜外針が使用されうる.
D穿刺手技
1)穿刺手技に際しては,中心静脈穿刺に準じた清潔操作を行う.
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