A目的
腰椎穿刺は腰椎くも膜下腔から脳脊髄液を採取して,適応疾患を診断するために行う.また,炎症性サイトカインや腫瘍マーカーなどの測定も可能である.さらに薬剤の髄腔内投与やドレナージ目的に施行されることもある.
B適応
髄膜炎・脳炎,脱髄疾患,脊髄疾患,くも膜下出血,変性疾患などである.
C禁忌
1)頭蓋内圧亢進:脳ヘルニアを起こす危険があるので,腰椎穿刺前には眼底鏡検査や頭部CTを施行する.
2)出血傾向,凝固異常:ただし,抗血小板薬,抗凝固薬,ヘパリン使用中は禁忌ではなく,中止後適切な時期に施行可能である.
3)穿刺部位の感染.
4)穿刺部位の脊髄動静脈奇形.
D手技
1)患者を側臥位(術者が右利きなら左側臥位)にし,両膝を胸にかかえて,顎を引き,背中を丸く突き出させる.
2)穿刺部位はL3/4,L4/5,L5/S1で施行可能であるが,まずはL4/5(Jacoby線上)で試みる(印を付ける).
3)穿刺部周囲を広範囲に消毒する.穴開き滅菌シーツをL4/5,L3/4とも見えるように被せる.
4)22~23Gの腰椎穿刺針をL4/5間の正中に挿入する.針先は約15度頭側に向ける.穿刺針を進めていくと,棘間靭帯の抵抗を感じるが,硬膜を通過すると抵抗がなくなる.内套(スタイレット)を抜き,脳脊髄液の流出を確認する.流出がなければ内套を再挿入して2~3mm進め,再度内套を抜く.
5)脳脊髄液の流出が得られたら,三方活栓に検圧管(マノメーター)を接続し,脳脊髄液が上昇するのを確認する.液面が安定するまで待ち,初圧を測定する.
6)検圧管の中の脳脊髄液を試験管に回収する.その後,脳脊髄液検体を自然滴下で試験管に回収する.回収する脳脊髄液量は5~10mL以内とする.
7)終圧を測定する.
8)内套を再挿入してから,穿刺針を抜く.
9)穿刺部を消毒して被覆材で保護する.
E腰椎穿刺のポイント
1)穿刺深度2cm程度であれば,