特 徴
トランスサイレチン型アミロイドーシス治療薬.
トランスサイレチンはレチノール結合蛋白質やサイロキシンの運搬や固定にかかわる血漿中に含まれる蛋白である.遺伝子変異によりトランスサイレチン由来のアミロイド線維が形成され,これが末梢神経や心臓などに蓄積し,神経障害や心機能障害,自律神経障害などの症状が現れる.トランスサイレチン型家族性アミロイドポリニューロパチーは,遺伝的にトランスサイレチンを作る遺伝子に変異が生じているためにアミロイド線維が主として肝臓で作られ,全身の臓器,組織に蓄積していく進行性の難治性疾患であり,肝移植が有効とされてきた.
パチシランナトリウムは,トランスサイレチン蛋白質が作られる場である肝細胞に輸送されやすいように脂質ナノ粒子の形で製剤化され,標的となるトランスサイレチンメッセンジャーRNAを分解し,トランスサイレチン蛋白質が肝臓で作られる前に,その産生を阻害する