特 徴
抗悪性腫瘍薬,チロシンキナーゼ阻害薬.
アミノ酸であるチロシンにリン酸を付加する酵素であるチロシンキナーゼは,細胞の増殖や分化に関する細胞内や核内での信号伝達に重要な役割を果たしており,その種類は数多く存在する.遺伝子変異によってチロシンキナーゼが異常に活性化すると,細胞が異常に増殖し,癌が発生・増殖する原因となる.未分化リンパ腫キナーゼ(ALK)遺伝子が何らかの原因で他の遺伝子と融合してできる特殊な遺伝子であるALK融合遺伝子は,強力な癌遺伝子である.ALK融合遺伝子は,非小細胞肺癌のなかでも腺癌に特異的にみられる遺伝子である.このALK融合遺伝子をもつ肺癌(ALK陽性肺癌)は非小細胞肺癌の患者の数%に存在する.ALK陽性肺癌に対しては,ALKチロシンキナーゼを阻害するALK阻害薬が有効で,数種のALK阻害薬が臨床応用されているが,治療開始後,数年以内に癌細胞が遺伝子変異をきたし