頻度 あまりみない
ニュートピックス
・ダイエット用ゼリーに含まれたシブトラミンによる中毒例が散発した.シブトラミンは覚醒剤の類似物質で,未承認薬剤の危険を改めて示した.
治療のポイント
・覚醒剤は交感神経賦活作用やセロトニン症候群を起こす.ベンゾジアゼピン類を使用して症状改善をはかる.
・大麻は頻脈,結膜充血,失調症状,精神症状などをきたす.経口摂取では症状が遷延することがある.拮抗薬はない.
・オピオイド中毒は縮瞳,意識障害,呼吸抑制が三徴である.呼吸抑制に対して拮抗薬ナロキソンが使用される.
・危険ドラッグには主成分にさまざまな種類があるほか,混合物が副作用をもたらすこともあり,症状は予想困難である.症状に応じて治療を行う.
◆病態と診断
A病態
・覚醒剤はシナプス間隙の交感神経作動物質を増加させ,交感神経賦活作用をもたらす.頻脈,血圧上昇,発汗,腸蠕動亢進,意識障害(興奮),体温上昇などを起こす.心筋梗塞,脳梗塞,脳出血,けいれんなどの合併症も起こす.物質によってはセロトニン作用を増強させてセロトニン症候群を起こすこともある.クローヌスや腱反射の増強などがセロトニン症候群のヒントとなる.
・大麻はカンナビノール受容体に作用して効果をもたらす.THC(テトラヒドロカンナビノール)が多幸感をもたらす成分で,濫用される原因となる.タバコのように吸入することも,経口摂取されることもあるが,経口摂取の場合に過量摂取のリスクが高く,症状も遷延しやすい.頻脈,起立性低血圧,結膜充血,構音障害,失調症状,幻覚などの精神症状を起こしうる.
・オピオイドはオピオイド受容体に作用して効果をもたらす.鎮痛作用があるほか依存性があり濫用されることがある.医療用にも多用されるほか,違法薬物としてフェンタニル類似物質の使用が広がって,世界中でその中毒死が問題となっている.中毒症状として意識障害,縮瞳,呼吸抑制がある.
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関連リンク
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