頻度 あまりみない
治療のポイント
・急性期は経時的に増悪することがあり,呼吸のみならず全身状態の評価・管理を継続する.
◆病態と診断
A病態
・フグ中毒の原因物質は主にテトロドトキシン(以下,TTX)であり,ヒトにおける経口摂取での致死量は1~2mgである(ハコフグ科はTTXをもたず,パリトキシン様の成分やパフトキシンをもつ).
・TTXは,フグの種類にもよるが,肝臓や卵巣,腸などに多く,一般的な加熱調理では分解されない.季節により毒の量も変化する.
・処理などにより人の健康を損なうおそれがないと認められるフグの種類は21種類あり,それぞれに対し可食部位が決められているが,交雑種などでは既知の可食部位の知識が通用しないこともあるうえに,養殖フグにおいても養殖方法によって毒性を生じることがある.
・TTXは,フグだけでなく,アカハライモリ,ヒョウモンダコ,スベスベマンジュウガニなどももっており,ビブリオ属やシュードモナス属などの細菌によって産生されるアルカロイドである.細菌によって産生されたTTXが捕食によって体内に蓄積する.
・TTXは,神経や筋の細胞膜に存在する電位依存性Naチャネルの抑制により,活動電位の発生と伝導を抑制することで,運動神経,知覚神経,自律神経系を障害する.中毒症状は食後20分~3時間程度の短時間で現れ,臨床的に4段階に分けられる.
1)第1段階:口唇および舌端に軽いしびれ,指先のしびれ,歩行不安定,頭痛や腹痛を生じる.
2)第2段階:不完全運動麻痺が生じる.嘔吐後まもなく運動不能になり,知覚麻痺,言語障害も顕著になる.呼吸困難を感じ,血圧低下が起こる.
3)第3段階:全身の運動障害を呈し,骨格筋は弛緩し,失声を認める.血圧は著しく低下し,呼吸困難となる.
4)第4段階:意識障害がみられ,呼吸が停止する.呼吸停止後心臓もやがて停止し死亡する.
・パリトキシンは,アオブダイによる中