診療支援
治療

感染症 最近の動向
関 雅文
(埼玉医科大学国際医療センター教授・感染症科・感染制御科)

A学会でのトピックス

 2023年以降は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がオミクロン株の病原性の低下から,いよいよ感染症法上での2類から5類相当の扱いに移行することとなり,新時代の感染症診療,すなわちウィズコロナもしくはポストコロナ時代の感染症対応が話題となった.

 まず特筆すべきこととして,COVID-19以外の感染症,特にインフルエンザや結核に関する報告やセッションが目につくようになった点が挙げられる.インフルエンザに関しては,いわゆるコロナ禍の3年間で国内での報告はほぼ皆無に近い状態であったが,2022年秋以降の海外渡航の大幅緩和以降はオーストラリアやイギリス,米国同様に感染症や学級閉鎖など流行の報告が相次ぎ,COVID-19との「ツインデミック(同時流行)」が強く懸念された(→キーワード2024).もちろんCOVID-19における変異株のさらなる登場,新たな薬剤の登場や今後のワクチン接種の方向性を含め,筆者のほか,第一線で感染症診療に携わる演者によって,第63回日本呼吸器学会学術講演会(2023年4月28~30日,東京)や第97回日本感染症学会総会・学術講演会(2023年4月28~30日,横浜)では多くの大規模なシンポジウムやセミナー,教育講演が企画され,大いに話題となった.

B疾患と病態

 引き続きCOVID-19が感染症診療の大きな鍵となる.COVID-19に関しては2022年に登場したオミクロン株のなかで,BA.1やBA.2,BA.4やBA.5といった系統からXBB.1やXBB.1.5,BQ.1やBQ.1.1,EG.5.1といった系統に2023年以降さらに置き換わりが進んでいる.病原性が強まっているとの報告はないが,その感染力と免疫逃避能力はさらに高まっているとされ,中和抗体薬やワクチンの効果減弱が大いに懸念されている.また多くの薬剤の出現とワクチンの進

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