頻度 あまりみない(本邦ではきわめてまれ)
治療のポイント
・いずれのウイルス性出血熱においても循環動態の安定を含めた全身管理が治療の基本である.
◆病態と診断
A病態
・ウイルス性出血熱(VHF)は発熱,出血(皮下,粘膜,臓器),多臓器不全を引き起こすウイルス感染症と定義される.
・一般的にVHFとは,エボラ出血熱(EVD:Ebola hemorrhagic fever),クリミア・コンゴ出血熱(CCHF:Crimean-Congo hemorrhagic fever),マールブルグ出血熱(MHF:Marburg hemorrhagic fever),ラッサ熱(LF:Lassa fever),南米出血熱(SAHF:South American hemorrhagic fever)を指す.SAHFには,アルゼンチン出血熱,ボリビア出血熱,ベネズエラ出血熱,ブラジル出血熱が含まれる.
・腎症候性出血熱,ハンタウイルス肺症候群,黄熱,デング出血熱,リフトバレー出血熱なども広義のVHFとよばれることがある.デング出血熱については「デング熱,チクングニヤ熱」の項(→)参照.
・VHFは原因ウイルスによって流行地域が異なり,EVD,LF,MHFはアフリカで,CCHFはアフリカ以外に東ヨーロッパ,中近東,中央アジア,南アジアなどでも報告がみられ,SAHFは中南米でみられる.
・媒介動物が不明のVHFもあるが,CCHFはマダニが,LF,SAHFはげっ歯類が宿主とされている.また,VHF患者の体液(血液,体液,吐物,便)を介してヒト-ヒト感染しうる.
・VHFの潜伏期はウイルス種によって異なるが,通常,数日から21日である.
・VHFの症状は,発熱,倦怠感,頭痛,関節痛,消化器症状など非特異的である.
B診断
・発症前21日以内にVHF流行地への渡航歴がある発熱患者で,VHF患者,または強く疑われる患者,動物または
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