頻度 あまりみない
治療のポイント
・適切な病歴聴取と診断に基づき,ドキシサイクリンによる治療が原則である.
・髄膜炎や心筋炎を伴うライム病では,点滴静注による治療としてセフトリアキソンが選択される.
◆病態と診断
A病態
・ライム病は主にBorrelia burgdorferiによって引き起こされる感染症である.
・回帰熱は主にBorrelia hermsiiによる古典的回帰熱と,1995年に日本で発見されたBorrelia miyamotoiによる新興回帰熱(BMD:Borrelia miyamotoi diseases)に大別される.前者は輸入感染症,後者は国内での報告もある.
・鳥類やげっ歯類が保菌するBorrelia属(梅毒と同じスピロヘータ属)を,主にヒメダニ・シラミ(重症化する傾向あり)が媒介する古典的回帰熱と,シュルツェマダニが媒介する新興回帰熱・ライム病がある.
・古典的回帰熱はヨーロッパ南部,砂漠以外の南アフリカ,ヒマラヤ山脈,アメリカ大陸南西部に分布する.BMDでは北海道が流行地域である.
・ライム病は限局した皮膚病変(遊走性紅斑;erythema migrans)から数週間~月単位で播種し,多臓器障害,神経,皮膚,骨格筋に障害を残す.本州の標高の高い地域(900~1,700m以上),青森県,北海道は流行地域である.潜伏期間は咬傷から平均15日,ライム病7~10日である.
B診断
・詳細な問診(渡航歴など),リスク評価(春~初秋のマダニ活動期),遊走性紅斑などの身体所見を評価する.
・ウイルス感染様症状(例:インフルエンザ様所見,激しい胃腸炎)はBMDの21%に認められる.
・遊走性紅斑(ほとんどが≧5cm)はライム病初期の70%前後に出現する.
・回帰熱では末梢血グラム染色,希釈末梢血の暗視野顕微鏡による評価が可能である.同時に専門施設での検査(realtime PCRや血清によ
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