頻度 あまりみない
GL蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第5.1版)(2023)
ニュートピックス
・COVID-19流行により媒介蚊の対策が不十分になったことも最近の症例数増加に関与している.
治療のポイント
・診断時,直ちに保健所へ届け出る.
・抗ウイルス薬はなく,輸液療法を中心とした治療となる.
・重症化リスク評価(既往者の異なる血清型の再感染,基礎疾患)を行う.
◆病態と診断
A病態
・主にネッタイシマカとヒトスジシマカによる蚊媒介感染症である.
1.デング熱
・フラビウイルス科フラビウイルス属デングウイルス(4血清型)による.潜伏期間は3~14日である.
・発熱期:急激な発熱で発症.頭痛,骨関節痛,筋肉痛,悪心,嘔吐,眼球運動時痛,時に咳嗽,咽頭痛をきたす.発熱後に瘙痒感のある斑丘疹が出現.粘膜出血も認める.白血球減少,血小板減少を認める.多くは7日前後で回復するが,リスク因子のある場合,警告サイン①腹痛あるいは圧痛,②持続する嘔吐,③胸・腹水貯留,④粘膜出血,⑤嗜眠あるいは不穏,⑥肝腫大,⑦Ht値上昇に注意する.
・重症期:重症型デングでは,①ショック,呼吸障害をきたす重症血漿漏出,②重症出血,③重症臓器障害などを認める.
・回復期:数日で回復,数週間倦怠感が遷延する例もある.
2.チクングニヤ熱
・トガウイルス科アルファウイルス属チクングニヤウイルスによる.潜伏期間は1~14日である.
・突然の発熱,倦怠感で発症.関節痛,リンパ節腫脹,頭痛,筋肉痛,発疹,結膜炎,悪心,嘔吐などをきたす.出血はまれで,リンパ球減少,血小板減少を認める.関節炎は強く痛み,腱滑膜炎を伴い,関節痛は数年間遷延する例もある.
B診断
・流行地の滞在歴を聴取する.
・デング熱:血清による抗原定性検査〔非構造蛋白(NS1)抗原〕,抗原・抗体定性検査(IgM抗体・NS1抗原).
・チクングニヤ熱:デング熱との鑑別が必要.ともに行政検査
関連リンク
- 今日の治療指針2023年版/重症熱性血小板減少症候群 [■4類感染症]
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- 今日の治療指針2023年版/伝染性紅斑 [■5類感染症-定点把握]
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- 今日の皮膚疾患治療指針 第5版/突発性発疹
- 臨床検査データブック 2023-2024/マラリア
- 今日の小児治療指針 第17版/伝染性紅斑,その他のヒトパルボウイルスB19感染症
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