頻度 情報なし
治療のポイント
・抗菌薬治療が原則である.動物曝露歴や活動歴をもとにドキシサイクリンが治療の第1選択となる.200mgの単回投与が基本となる.
◆病態と診断
A病態
・発疹チフスはリケッチア症の1つであり,Rickettsia prowazekiiが原因微生物である.感染患者を吸血したコロモジラミによって媒介される.
・コロモジラミは感染患者を吸血後,数日間体内に感染可能な状態でR. prowazekiiを有している.したがって,人が不衛生な状態で密集生活を送ることによりアウトブレイクが起こりやすくなる.特に貧困,飢餓などによる衛生状態の悪化の原因となりやすい戦争による難民,前線の軍隊などの間で多数の患者が発生しやすい.
・日本では1914年に7,000人を超える患者発生が記録されたが,その後次第に減少した.しかし,第二次世界大戦時に患者数は増加し,1944年は9月までで733人の死亡者が報告されている.その後,敗戦後の経済状況の改善とともに患者数は減少している.
・ムササビの糞便の吸入によって感染することも報告されている.
・ほかのRickettsia属と同じく,細胞内寄生菌であり,β-ラクタム系の抗菌薬が無効であることから病歴から鑑別に挙がることが重要である.潜伏期間は1週間程度である.
・初感染後,数年の潜伏期間ののちに未治療の場合,再発するBrill-Zinsser病という病態がある.
B診断
・診断は,2023年現在,日本国内では商業ベースの臨床検査は不可能であり,病歴から疑い,治療することが原則となる.
・シラミ媒介による感染が主であることから不衛生な環境での集団生活,発熱と皮疹などの症状と身体所見が特徴である.同様の病歴ではBorrelia recurrentisによる回帰熱も鑑別に挙がる.いずれもドキシサイクリン投与で治療可能である.また,Bartonella qui
関連リンク
- 治療薬マニュアル2024/ドキシサイクリン塩酸塩水和物《ビブラマイシン》
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- 今日の診断指針 第8版/腸チフス・パラチフス
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