頻度 あまりみない
治療のポイント
・重症肺炎では,本症の可能性を検討する.
・β-ラクタム系抗菌薬が無効で,マクロライド系,ニューキノロン系の抗菌薬が有効である.
・ICU管理が必要となる場合も多い.
◆病態と診断
A病態
・レジオネラ属菌は,グラム陰性桿菌で土壌などの自然環境に存在するが,冷却塔,給湯系,渦流浴などの人工環境にアメーバを宿主として増殖している.本菌に汚染されたエアロゾルを吸入することにより発症する.
・劇症型の肺炎と,一過性の感冒様症状を呈するポンティアック熱の2病型がある.
・肺炎は,2~10日間の潜伏期間ののち,発熱,悪寒,筋肉痛,胸痛,呼吸困難などの症状で発症する.
・肝腎機能の低下や下痢,嘔気,腹痛などの消化器症状,神経・精神症状などの肺外症状が認められることも多い.
B診断
・レジオネラ肺炎を疑うポイントは,温泉旅行歴や循環式風呂の使用歴があること,進行の速い肺炎,肝機能・腎機能の低下が強いこと,X線像上の陰影の拡がりに比べて低酸素血症の程度が強いこと,時に集団発生が認められることなどである.
・細菌学的検査:グラム染色では染まりにくく,ヒメネス染色やアクリジンオレンジ染色などの特殊染色が必要である.培養は,BCYEα培地やWYOα培地などの特殊培地を要する.
・尿中抗原検査:従来のキットは,Legionella pneumophila serogroup 1のみしか検出できなかったが,最近のキットは,リボソームL7/L12抗原とLPS抗原の両者を検出し,他の血清型も検出可能となっている.
・PCR法やLAMP法などの遺伝子学的検査による抗原検出も行われている.
・近年,臨床症状と検査所見によるスコアリングシステムが提唱されている.
◆治療方針
重症化しやすい肺炎であるので,原則入院治療を行う.ICU管理が必要となることも多い.
細胞内寄生菌であるので,細菌の細胞壁合成を阻害す
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