頻度 ときどきみる
治療のポイント
・対症療法.
・予防には弱毒生ワクチンによる予防接種が有効である.
◆病態と診断
A病態
・風疹ウイルスはTogavirus科Rubivirus属に属する直径60~70nmの(+)鎖の1本鎖RNAウイルスで,エンベロープを有する.
・上気道粘膜より排泄されるウイルスが飛沫・接触感染で伝播され,基本再生算数(R0)は5~7である.潜伏期間は14~21日である.
・発症すると発熱,発疹,リンパ節腫脹(ことに耳介後部)が出現するが,発熱は風疹患者の約半数にみられる程度である.また不顕性感染が15~30%程度存在する.3徴候のいずれかを欠くものについての臨床診断は困難である.溶血性レンサ球菌による発疹,伝染性紅斑,修飾麻疹,エンテロウイルス感染症,伝染性単核球症など発熱発疹性疾患や薬疹との鑑別が必要であり,確定診断のためには検査室診断を要する.
・合併症には,血小板減少性紫斑病(1/3,000~5,000人),急性脳炎(1/4,000~6,000人)などがある.
・妊婦が妊娠20週までに罹患すると出生児が先天性風疹症候群(CRS:congenital rubella syndrome)を発症する場合がある.
・CRSの主症状としては,先天性心疾患,難聴,白内障,色素性網膜症がみられる.そのほかに,低出生体重,血小板減少性紫斑病,溶血性貧血,黄疸,間質性肺炎,髄膜脳炎,進行性風疹全脳炎,糖尿病,精神運動発達遅滞などがみられる.
B診断
・ウイルスの分離が基本であるが,保険適用ではない.しかし,5類感染症-全数把握であり,急性期の咽頭ぬぐい液,血液(EDTA血),尿の3点セットから分離培養あるいは風疹ウイルス遺伝子を核酸増幅法で検出する方法が早期診断に有用であり,地方衛生研究所を介して実施可能である.
・血清診断は保険適用になっており,よく用いられている.赤血球凝集抑制反応(H