診療支援
治療

インフルエンザ [■5類感染症-定点把握]
influenza
高山陽子
(北里大学教授・感染制御学)

頻度 よくみる

ニュートピックス

・新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行以降,報告は世界的に激減していたが,2021年後半~2022年前半に北半球の多くの国でA(H3N2)香港型による小~中規模の流行がみられた.

・わが国でも,2023年秋~2024年冬に流行する可能性やCOVID-19との同時流行が懸念される.

治療のポイント

・発症から48時間以内の抗インフルエンザ薬投与が重要である.

・高リスク者は抗インフルエンザ薬投与のメリットが大きいため,積極的に使用する.

・健常若年者では,発症からの時間や高リスク者との接触を考慮して抗インフルエンザ薬投与を検討する.

◆病態と診断

A病態

・インフルエンザウイルスによる急性の呼吸器感染症で,わが国では冬季に流行し,約1,000万人が罹患する(2020-2021・2021-2022年シーズンはCOVID-19感染対策の影響を含め流行せず).

・近年,冬季以外における流行の報告があり,季節にかかわらず流行しうる.

・潜伏期間は1~3日,感染可能期間は症状が出現する前日~後5日である.

・発熱は初日がピークで3~4日目に解熱するが,1週間程度持続することがある.

・気道分泌物により,飛沫,接触を介して伝搬する.

・小児では脳症,高齢者では細菌性肺炎の合併に注意する.

B診断

急な高熱,咳嗽,頭痛,倦怠感,筋肉痛などが出現し,感冒に比べて全身症状が強い.

・かぜ症候群,COVID-19などと臨床症状のみで鑑別することは困難である.

・わが国の臨床現場では,鼻咽頭スワブ検体を用いた迅速抗原検査キット(イムノクロマト法)が広く用いられる.

・迅速抗原検査の感度は60~80%であり,偽陰性を示す可能性がある.発症6時間以内ではウイルス量が少なく感度の低下が知られている.検査陰性時は12~24時間後に再検するほか,臨床症状や地域における流行状況を勘案し診断する.

・イ

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?