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治療

敗血症 [■その他]
sepsis
宮崎泰可
(宮崎大学教授・呼吸器・膠原病・感染症・脳神経内科学)

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GL日本版敗血症診療ガイドライン2020(J-SSCG2020)

ニュートピックス

・一般診療現場においても敗血症および敗血症性ショックの早期診断・治療が重要であり,2022年から「日本版敗血症診療ガイドライン 初期治療とケアバンドル」(J-SSCG2022バンドル)が公開されている.

治療のポイント

・バイタルサインが変化し感染による臓器障害が疑われる場合には,SOFA(sequential organ failure assessment)スコアと乳酸値による敗血症の早期診断と初期蘇生,専門医へのコンサルトが求められる.

・初期治療に反応が乏しい患者は,集中治療が可能な場所・施設への移動を考慮する.

・抗菌薬治療のみでなく,感染源の検索と感染巣のコントロールが重要である.

・臓器障害の程度を評価し,循環動態や薬物動態などの変化に応じて薬剤を調整する.

◆病態と診断

A病態

・感染症に対する生体反応が制御不能となり,重篤な臓器障害が引き起こされた状態である.

・敗血症性ショックでは急性循環不全により高度な細胞障害および代謝異常をきたし,死亡の危険性がさらに高まる.

B診断

・qSOFA(quick SOFA)〔①意識変容(GCS<15),②呼吸数≧22回/分,③収縮期血圧≦100mmHg〕と脈拍(>90回/分),体温(<36℃もしくは>38℃)を評価する.敗血症の疑いがあればSOFAスコアを算出し乳酸値を測定する.

・感染症の疑いがあり,かつ,SOFAスコアが2点以上上昇している場合に敗血症と診断する.

・感染症の診断において病原微生物の同定は重要である.病歴,身体所見,画像検査などから感染巣を絞り込み,血液培養とともに推定感染部位から培養検体を採取する.

・診断バイオマーカー検査としてはCRPやプロカルシトニン(PCT)が用いられている.集中治療が必要な患者ではプレセプシン(P-SEP)

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