頻度　ときどきみる

ＧＬClostridioides difficile感染症診療ガイドライン2022

治療のポイント

・ガス壊疽（代表的な原因菌：Clostridium perfringens）では積極的な外科的処置と適切な抗菌薬治療が重要である．

・Clostridioides difficile感染症では，メトロニダゾール，バンコマイシン，フィダキソマイシンが有効であり，初発・再発などの状況に合わせて選択する．

◆病態と診断

A病態

・Clostridium属は芽胞を形成する偏性嫌気性グラム陽性桿菌である．

・Clostridium perfringensなどが原因となるガス壊疽や食中毒，Clostridioides difficileによる抗菌薬投与後などに発症するC. difficile感染症が重要である．

・その他の重要な原因菌として，C. botulinumはボツリヌス毒素を産生し食中毒の原因となる．C. tetaniはテタヌストキシンを産生して破傷風の原因となる．

・ガス壊疽は外傷・褥瘡部位などから感染する進行性の軟部組織感染症であり，適切な治療が行わなければ重症化し，致死的となることもある．

・C. difficile感染症のほとんどは腸炎であり，下痢症状のほか，時に腹痛や発熱を伴う．腸管内では偽膜や出血がみられることがあり，まれに腸管穿孔やイレウスを起こすことがある．

・C. difficile感染症では，院内感染対策が重要である．患者は可能な限り個室管理とし，医療従事者は手指衛生の徹底および手袋とガウンまたはエプロン着用などの接触感染対策が必要である．

・ガス壊疽では，感染した部位に浮腫が生じ，皮膚は青銅色を呈し，疼痛を伴い，急速に悪化することが多い．身体所見としては局所の握雪感を認め，X線やCT所見ではガス像が認められる．確定診断のためには嫌気培養が必要であるため，検体