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治療のポイント
・伝染性単核球症はほとんどの場合自然に軽快するため,対症療法が主体となる.皮疹をきたしやすいため,ペニシリン系抗菌薬は使用しない.
・脾腫を伴い,まれではあるが脾破裂のリスクがあることから,発症1か月程度まで激しい運動などは控えるように指導する.
・3か月以上持続する発熱,リンパ節腫脹,肝脾腫など,特に慢性活動性EBウイルス感染症を疑う場合は精査の対象となる.
◆病態と診断
A病態
・主にEBウイルスによる感染症である.唾液などを介し中咽頭粘膜に付着したEBウイルスがBリンパ球に感染する.この際,細胞傷害性Tリンパ球も活性化し,これが異型リンパ球として認識される.
・EBウイルス感染後,約6か月程度ウイルス排泄が続く.EBウイルスは生涯にわたり潜伏感染として維持されるとともに,間欠的にウイルス排泄がみられることもある.小児では不顕性感染であることがほとんどで,成人のほうが症状を呈しやすい.
・非EBウイルスによる伝染性単核球症の原因微生物としては,サイトメガロウイルス(CMV),ヒト免疫不全ウイルス(HIV),トキソプラズマなどが知られるが,臨床症状からの鑑別は困難である.
B診断
・発熱,咽頭炎,リンパ節腫脹が主要症状であり,このほか,倦怠感,皮疹や頭痛などの症状がみられる.EBウイルスによる伝染性単核球症は感染後4~6週で発症する.
・咽頭炎は有痛性で,口蓋扁桃に白苔を伴うこともあり,溶連菌感染と区別が難しいことがある.またリンパ節腫脹は対称性で,後頸部リンパ節や耳介後リンパ節でみられるのが特徴的である.発熱も含めこれらの症状は発症3週程度までには軽快するが,一方でこの時期には脾腫が最も顕著になる.
・血液像で50%を超えるリンパ球に加え,10%を超える異型リンパ球を認める.しばしば肝逸脱酵素が上昇し,発症2~3週間でピークとなる.
・EBウイルスの初感染では血
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