頻度 あまりみない
治療のポイント
・合併症のない熱帯熱マラリア,非熱帯熱マラリア,および重症マラリアの3種類に分けて治療薬を選択する.
・重症マラリアに対する治療は,熱帯病治療薬研究班が保管・管理しているグルコン酸キニーネ注射薬を使用し,原則として研究班の研究実施医療機関で行う.
・三日熱マラリア,卵形マラリアでは急性期治療後に休眠体(ヒプノゾイト)に対する根治療法が必要である.
◆病態と診断
A病態
・メスのハマダラカの吸血によって,蚊の唾液腺にいるスポロゾイトがヒトの体内に侵入することによって感染が成立する原虫疾患である.
・ヒトに感染し症状を引き起こす代表的な原虫は,熱帯熱マラリア原虫(Plasmodium falciparum),三日熱マラリア原虫(Plasmodium vivax),卵形マラリア原虫(Plasmodium ovale),四日熱マラリア原虫(Plasmodium malariae)である.さらに,東南アジアのマカク属のサルを固有の宿主としヒトにも感染例があるサルマラリア(Plasmodium knowlesi)がいる.
・三日熱マラリアと卵形マラリアは肝臓でヒプノゾイトを形成し,数か月以上経過してから再発することがある.
B診断
・マラリア診断のゴールドスタンダードは末梢血ギムザ染色の鏡検による形態学的診断である.原虫の形態学的特徴からマラリア原虫種類の判別を行う.塗抹標本から原虫感染率を計算し,重症度判定の指標の1つとして用いる.
・初回の血液塗抹検査が陰性であっても,マラリアの可能性が残る場合は12時間から24時間ごとに塗抹検査を繰り返す必要がある.これは熱帯熱マラリアの赤血球の感染サイクルによっては栄養体や分裂体が微小血管に隔離されるため,原虫が塗抹検査で検出できなくなるためである.
・日本では保険適用外であるが,マラリアに対する迅速診断試薬がある.標的抗原としては熱
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