頻度 あまりみない
GLトキソプラズマ症診療の手引き 改訂版(2017)
GL寄生虫症薬物治療の手引き(2020年改訂第10.2版)
GLトキソプラズマ妊娠管理マニュアル 第5版(2023)
治療のポイント
・急性感染(妊婦,眼病変などの臓器に病変がある症例以外)では原則,抗寄生虫薬治療は不要である.
・妊娠時の初感染で胎児感染がない場合は,スピラマイシンの内服を推奨する.
・播種性および臓器病変がある病態,胎児感染が確認された先天性症例では,pyrimethamineとsulfadiazineが第1選択薬である(いずれも国内未承認薬であり,薬剤の使用には該当機関に連絡が必要である).
◆病態と診断
A病態
・トキソプラズマ症は人獣共通感染症であり,Toxoplasma gondiiの感染が原因である.ネコが排出するオーシスト(嚢子)に汚染された環境,水源,食品から経口感染する場合と,感染した家畜動物などの食肉に含まれるブラディゾイト(緩増虫体)を調理不十分な状態で摂取した場合に感染する.
・急性期感染の大部分は無症状である.また発症しても発熱やリンパ節炎などの軽微な症状であることが多く,自然軽快する(まれに心筋炎や網膜炎の報告がある).妊娠中の初感染は先天性トキソプラズマ症の原因となり,流産や死産,出生児の障害(眼,中枢神経など)を引き起こす.
・トキソプラズマは急性感染後に慢性感染に移行するが,宿主がAIDSや血液疾患,臓器移植後などにより免疫不全状態になると感染が再燃し,脳炎や肺炎などの重篤な病態を呈すことがある.
B診断
・初感染:トキソプラズマIgM,IgG抗体を測定する.IgMは感染後1週間程度,IgGは2週間程度で陽性になる.病態の正確な把握のため,2~3週間の間隔を空けたペア血清による評価を推奨する.しかしながら,一部の症例ではIgMの上昇が数年にわたり維持されることがあり,解釈には注
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