頻度 あまりみない
GL寄生虫症薬物治療の手引き-2020-改訂第10.2版
治療のポイント
・フィラリア症には駆虫薬が有効であるが,感染寄生虫により使用する治療薬が異なる.
・症状,疾患流行地の疫学情報,寄生虫学的検査結果から総合的に判断し,治療薬を決定する.
◆病態と診断
・リンパ管フィラリア症は,バンクロフト糸状虫(Wuchereria bancrofti),マレー糸状虫(Brugia malayi)などにより引き起こされる.主にアジア・アフリカ・南米で流行し,蚊を介して感染伝播する.成虫は主にリンパ管に寄生し,リンパ管うっ滞によるリンパ浮腫や象皮病が起きる.成虫から放出されるミクロフィラリア(Mf)は,血中を循環する.
・ロア糸状虫症は,ロア糸状虫(Loa loa)により引き起こされる.中央・西アフリカで流行し,アブを介して感染伝播する.成虫は皮下および眼瞼結膜下を移動し,Mfは血中を循環する.皮膚瘙痒感や,血管性浮腫が起きる.
・オンコセルカ症は,回旋糸状虫(Onchocerca volvulus)により引き起こされる.主にアフリカ・南米で流行し,ブユを介して感染伝播する.成虫は主に皮下に寄生し,Mfは,皮膚・眼に移行する.激しい瘙痒感・皮下結節などの皮膚症状のほか,角膜炎・虹彩炎などによる視野障害や失明が起きる.
・診断は顕微鏡検査によるMfの検出により行う.リンパ管フィラリア症・ロア糸状虫症の診断には,血液塗抹ギムザ染色標本を用いる.オンコセルカ症の診断には,皮膚切片または生検ギムザ染色標本を用いる.
◆治療方針
感染寄生虫により使用する駆虫薬が異なるため,症状,疾患流行地の疫学情報,寄生虫学的検査結果から総合的に判断し,治療薬を決定する.
Aリンパ管フィラリア症
Px処方例 下記1)を用いる.1)の治療1週間後に成虫駆虫のため2)を用いる場合もある.
1)ジエチルカルバマジン(スパト
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