頻度 あまりみない(近年では20~30例/年の報告)
治療のポイント
・エキノコックス症は多包虫症(AE:alveolar echinococcosis)と単包虫症(CE:cystic echinococcosis)に大別され,治療方針が異なる.
・報告例の90%以上がAEであり,うち90%以上は北海道で発生している.しかし,北海道全域だけでなく,愛知県知多半島では継続的に野犬での感染が検出されていることから寄生虫が定着していると考えられる.
・AEは肝臓の悪性腫瘍のような病態を呈し,薬物治療では完治できないため,病巣が小さい段階での外科的切除が望ましい.
◆病態と診断
A病態
・環境中の終宿主動物(イヌ・キツネなど)に由来する虫卵を経口摂取することで感染する.
・CEでは孤立性病巣として,肝病変(70%),肺病変(20%)などに病変が形成される.
・AEでは肝臓に病変が形成され,幼虫(原頭節)が嚢胞にて増殖・転移し,放置すると致死的経過をたどる.
・AE/CEともに,嚢胞の成長は緩慢で,小さい間は無症状に経過する.進行期(感染後5年~十数年)では肝腫大に伴う上腹部の膨満感や肝障害,脈管障害による症状を呈する.
B診断
・肝臓の画像異常所見が受診や診断の契機となり,流行地での居住歴といった患者背景から本症を疑う.
・AE/CEそれぞれに対する特異的抗体を検出する血清学診断を併用し確定できる.
・摘出検体中の病原体診断も可能であるが,経皮的生検は播種の危険性があるため控える.
◆治療方針
CEは腹部超音波所見によるWHO分類で活動性を評価し,病変の大きさや完全切除できるか否かで治療方針を決定する(表1図).
AEの活動性をFDG-PETやMRIで評価し,外科的に完全切除できるか否かにより方針を決める.切除後も抗寄生虫薬を内服する(表2図).
A抗寄生虫薬
Px処方例
アルベンダゾール(エスカゾール薬)錠(20
関連リンク
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