頻度 あまりみない(10万対年間1~2人)
GL寄生虫症薬物治療の手引き-2020-改訂第10.2版
治療のポイント
・急性住血吸虫症の治療では,駆虫薬とステロイドの使い方に留意する.
・慢性住血吸虫症の治療では,駆虫薬の投与から4~6週以降に虫卵検査による治療評価を行い,適宜駆虫薬の再投与を行う.
・慢性住血吸虫症の合併症として,門脈圧亢進症,肺高血圧症,中枢神経病変が知られており,臓器専門家と連携して治療にあたることが望ましい.
◆病態と診断
A病態
・現在国内での感染例はないものの,世界中で2億人以上が感染しているといわれている.
・セルカリアが経皮的に体内に侵入し感染が成立する.
・腸管住血吸虫(肝門脈・腸間膜静脈系に寄生):日本住血吸虫(S. japonicum),マンソン住血吸虫(S. mansoni),メコン住血吸虫(S. mekongi),インターカラーツーム住血吸虫(S. intercalatum)
・尿路生殖器系住血吸虫(骨盤内静脈に寄生):ビルハルツ住血吸虫(S. haematobium)
・虫卵に対する免疫反応の結果,感染臓器に肉芽腫性血管炎を呈する.
B診断
1.症状
・セルカリア皮膚炎:感染から数時間後に湿疹様の皮膚病変を呈する.
・急性住血吸虫症(片山熱):感染2~12週で発熱,頭痛,全身倦怠感,筋肉痛,乾性咳嗽,右季肋部痛,下痢,血便などを呈する.S. haematobiumでは血尿を呈する.
・慢性住血吸虫症:消化管病変として,心窩部痛,腹痛,非肉眼的血便を認める.重症例では消化管の狭窄を生じることもある.肝臓病変として,肝硬変,門脈圧亢進症,静脈瘤,脾腫が形成される.S. haematobiumでは,血尿,排尿障害,蛋白尿,腎不全などを生じる.
・中枢神経病変:けいれん,神経巣症状,脳波異常を呈することがある.S. mansoniやS. haematobiumでは横断性脊髄
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