診療支援
治療

かぜ症候群
common cold syndrome
中村(内山)ふくみ
(東京都立病院機構東京都立墨東病院・感染症科部長)

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治療のポイント

・かぜ症候群は急性上気道感染症(急性上気道炎)と急性下気道感染症(急性気管支炎)を含む概念である.感冒,急性鼻副鼻腔炎,急性咽頭炎,急性気管支炎の4つの病型に分類する.

・さまざまなウイルスが原因となる自然軽快する良性の症候群であり,治療は対症療法が主体となる.すなわち抗菌薬投与は不要である.

・抗菌薬が必要となる病態は,A群β溶血性レンサ球菌(GAS:group A Streptococcus)による急性咽頭炎と中等症または重症の急性鼻副鼻腔炎である.

・かぜ症候群か否かを初診で判別できないことがある.かぜ症候群の症状を示す疾患に注意し経過観察を行うか,症状が改善しなかった場合に患者の再受診を促すような説明が重要である.

◆病態と診断

A病態

・鼻汁,鼻閉,咽頭痛などの上気道症状や咳,痰などの下気道症状を起こす.鼻症状,咽頭症状,下気道症状が同時に同程度存在するものを感冒,鼻症状の強いものを急性鼻副鼻腔炎,咽頭症状の強いものを急性咽頭炎,下気道症状の強いものを急性気管支炎と分類する.

・80~90%がウイルス性といわれ,主な原因ウイルスは,ライノウイルス,コロナウイルスが多く,RSウイルス,パラインフルエンザウイルス,アデノウイルスなどが続く.

・抗菌薬が必要となるGASによる急性咽頭炎は,成人においては全体の10%程度である.最近,欧米の調査ではGAS以外のC群,G群β溶血性レンサ球菌やFusobacterium属も急性咽頭炎の原因になる可能性が指摘されている.国内での実態は不明である.

・急性ウイルス性上気道感染症のうち,急性細菌性鼻副鼻腔炎を合併する症例は2%未満である.

・急性気管支炎の原因はウイルスが90%以上を占め,5~10%は百日咳菌,マイコプラズマ,クラミドフィラなどであるといわれている.最近,成人の患者が全体の1/3以上を占めるようになっている.

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