頻度 ときどきみる
治療のポイント
・本症に対する治療は多剤併用療法を施行し,喀痰培養が陰性化してからもおよそ1年間投与する.
・多剤併用療法を行っても再発・再燃することも多く,繰り返し治療が必要となることもある.
・肺NTM症の90%を占める肺MAC症に対して,アジスロマイシン内服およびアミカシン吸入が使用できるようになり,治療薬選択の幅が広がった.
・対症療法として,エリスロマイシン少量長期投与による抗炎症治療も進行抑制として勧められる.
・長期にわたり変化のない症例も多く,また75歳以上の高齢者では無治療で経過観察することが多い.
◆病態と診断
A病態
・非結核性抗酸菌は環境常在菌で,ミストや土埃の吸入曝露によって感染する.
・痩せ型の中高年女性に多い.男性の頻度は低いがCOPDや結核後遺症患者にみられる.
・胸部画像上,結節・気管支拡張型(NB型)および線維空洞型(FC型)に分類される.NB型は女性に多く,進行は緩徐である.FC型は男女ともにみられ,進行が早い.
B診断
・2回以上の異なった喀痰検体での培養陽性,および胸部画像で気管支拡張・多発小結節の所見により診断する.日本結核病学会・日本呼吸器学会の「肺非結核性抗酸菌症の診断基準」(2008年)に基づき診断する.
◆治療方針
肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の線維空洞型では診断後すぐに治療を開始する.結節気管支拡張型では,症状が強く,病変の範囲が一側肺の1/3を超えるものはすぐに治療を開始するが,それ以外では経過観察することが多い.日本結核病学会・日本呼吸器学会の「肺非結核性抗酸菌症化学療法に関する見解―2012年改訂」を参照する.
Px処方例 下記の1)~3)を併用する.重症例には4)または5)を追加する.
1)クラリスロマイシン(クラリス薬)錠(200mg) 1回2錠 1日2回 朝・夕食後,または アジス
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