診療支援
治療

気管支喘息
bronchial asthma
放生雅章
(国立国際医療研究センター病院・呼吸器内科診療科長(東京))

頻度 よくみる(成人で3~7%程度)

GL喘息予防・管理ガイドライン2021

GL喘息診療実践ガイドライン2022

ニュートピックス

・喘息治療薬の5つ目の生物学的製剤として,抗TSLP抗体が2022年11月にわが国でも上市された.

・喘息は多様性に富む疾患で,同じ診断名でも特徴は異なるため,個々の患者の形質のうち治療可能な要素「treatable traits」を抽出し,バイオマーカー,心理的・社会的特徴に基づいて個々の患者のニーズに応じた治療を行うprecision medicineが求められるようになってきた.

治療のポイント

・薬物治療の前に,アレルゲン回避・禁煙などの環境整備が最優先される.

・「喘息予防・管理ガイドライン2021」(JGL2021)の治療ステップに準じて治療を開始するが,すべての治療ステップで原則吸入ステロイド薬(ICS:inhaled corticosteroid)を使用する.

・ICSに併用する薬剤として主に長時間作用性吸入β2 刺激薬(LABA:long-acting β2-agonist),長時間作用性抗コリン薬(LAMA:long-acting muscarinic antagonist),ロイコトリエン受容体拮抗薬(LTRA:leukotriene receptor antagonist)がある.

・基本治療薬はICS/LABA配合薬となることが多い.効果に合わせ,治療のステップアップ,ステップダウンを行う.

・「喘息診療実践ガイドライン2022」では,咳・痰・呼吸困難のいずれかがほぼ毎日あるなど症状が強い場合は,初期治療からのICS/LABA/LABAのトリプル配合薬の使用を勧めている.

・安易な治療追加・変更の前にアレルギー性鼻炎・胃食道逆流などの合併症の管理,吸入手技のチェックを行う.

・吸入薬,経口薬を最大限使用しているにもかかわらず,経口ステロイドを

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?