診療支援
治療

慢性閉塞性肺疾患(COPD)
chronic obstructive pulmonary disease(COPD)
松永和人
(山口大学大学院教授・呼吸器・感染症内科学)

頻度 よくみる

GLCOPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン2022[第6版]

治療のポイント

・わが国におけるCOPDの患者数は20万人前後とされているが,実際には40歳以上の430万人が罹患していると見積もられており,おおむね10~20pack-years以上の喫煙歴があり40歳以上であればCOPDを疑い,呼吸機能検査を行うことが重要である.鑑別診断に画像検査は有用である.

・治療では,吸入気管支拡張薬を中心とする薬物療法と禁煙,ワクチンなどの非薬物療法が基本である.治療の効果が不十分な場合は,吸入手技やアドヒアランスの確認,喘息などの肺合併症や全身併存症の診断・管理が重要で,必要時は専門医へのコンサルトを考慮する.

・吸入ステロイドの使用については末梢血好酸球や呼気一酸化窒素などのバイオマーカーや喘息合併,増悪,感染症の病歴を踏まえて検討すべきとされている.

◆病態と診断

A病態

・COPDはタバコ煙を主とする有害物質を長期に吸入曝露することで生じる進行性の肺疾患であり,呼吸機能検査で閉塞性障害を示す.

・気流閉塞は,末梢気道病変と気腫性病変がさまざまな割合で複合的に作用することで生じる.

B診断

・臨床症状は,徐々に進行する労作時呼吸困難や慢性的な咳嗽,喀痰が中心であるが,症状に乏しいこともある.進行すると,るい痩や食思不振,フレイル,身体活動性の低下に加え,不安・抑うつなどの精神症状を合併することもある.

・身体所見としては,早期のCOPDでは目立たないものが多いが,進行すると樽状胸郭,気管短縮,呼気の延長や口すぼめ呼吸,胸鎖乳突筋の肥大などがみられることもある.

・診断で重要なのは呼吸機能検査であり,気管支拡張薬吸入後のFEV1/FVC(1秒率)が70%未満の閉塞性換気障害の存在が必要条件である.またフローボリューム曲線を確認し,閉塞性障害が検査手技や中枢性気道閉塞など

関連リンク

この記事は医学書院IDユーザー(会員)限定です。登録すると続きをお読みいただけます。

ログイン
icon up
あなたは医療従事者ですか?