頻度 あまりみない
GL肺癌診療ガイドライン2022年版―悪性胸膜中皮腫・胸腺腫瘍含む
治療のポイント
・切除可能と判断される症例には外科療法に術前あるいは術後の化学療法,さらに胸膜肺全摘術施行例には術後の片側胸郭照射を加えた集学的治療を検討する.
・切除不能例に対しては,免疫チェックポイント阻害薬の併用療法,あるいはシスプラチン+ペメトレキセド併用化学療法を行う.
・診断,治療とも専門性が高く,経験を有する外科医,内科医,放射線科医,病理医などによる合議が必要である.
◆病態と診断
A病態
・悪性胸膜中皮腫は,壁側胸膜から生じる,腫瘍細胞が中皮細胞由来または中皮細胞への分化を示す悪性腫瘍である.
・過去のアスベスト曝露に起因することが多く,わが国においても全体の約8割の症例において,職業あるいは住環境などによるアスベスト曝露との関連が示唆されている.
・過去のアスベスト曝露から30~40年の潜伏期間ののちに発症することが多く,70歳前後に好発し,男女比はほぼ4:1である.
・直近のデータでは,本邦では年間約1,800人が発症し,約1,600人が死亡している.
・胸水貯留による息切れ,咳にて発症することが多く,発熱,胸痛,食欲低下,体重減少を伴うことも多い.
B診断
・胸部X線あるいはCTにて胸水貯留や不整な胸膜肥厚を認める.典型例では胸膜腫瘤あるいは腫瘍性胸膜肥厚を認めるが,明らかに悪性病変を示唆するような腫瘤を認めなくても,特に縦隔側の胸膜に不整な肥厚像を認める場合は積極的に胸膜中皮腫を疑う必要がある.
・胸水を認める場合,胸腔穿刺により胸水を採取するが,胸水細胞診のみでは診断確定に至らない場合が多い.セルブロックを用い後述する免疫染色を組み合わせることで診断率が高まる.
・胸水中のヒアルロン酸値が高値を呈する場合,胸膜中皮腫が強く疑われるが,診断感度は高くない.
・可能な限り全身麻酔下での胸腔鏡検査に
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