診療支援
治療

特発性肺線維症
idiopathic pulmonary fibrosis(IPF)
岸 一馬
(東邦大学教授・呼吸器内科学)

頻度 ときどきみる(10万人対有病率10)

GL特発性肺線維症の治療ガイドライン2023(改訂第2版)

GL特発性間質性肺炎 診断と治療の手引き2022(改訂第4版)

ニュートピックス

・2022年5月に改訂された国際ガイドラインでは,高分解能CT(HRCT)におけるUIP(usual interstitial pneumonia)パターンに加えてprobable UIPパターンであっても,外科的肺生検や経気管支生検なしで,呼吸器科医・画像診断医・病理医による集学的検討(MDD:multidisciplinary discussion)によりIPFと診断することが可能になった.

治療のポイント

・慢性期には抗線維化療法(ピルフェニドンまたはニンテダニブの投与)を行う.IPFは進行性の経過をたどるため,早期の治療介入を検討する.

・急性増悪時には,すみやかにステロイドパルス療法を行う.

・安静時あるいは労作時に低酸素血症を伴う場合には,在宅酸素療法を導入する.

・呼吸リハビリテーションにより症状の緩和や運動耐容能の改善が期待される.

・絶対的禁忌がないIPF患者に対して,条件が整っていれば,肺移植を検討する.

◆病態と診断

A病態

・線維化が進行し,蜂巣肺に至る予後不良で原因不明の肺疾患である.IPF患者の生存期間中央値は約3~5年である.

・反復する各種の刺激により上皮細胞傷害が惹起され,さまざまな増殖因子の産生により,異常な組織修復が生じ,間質の線維化をきたす.

・急性増悪は,急速に呼吸状態が悪化し,CTで両肺野に新たなすりガラス影/浸潤影が出現する病態である.感染や術後など原因のある急性増悪と特発性の急性増悪がある.

・IPF患者は肺気腫,肺高血圧症,肺癌,感染症,気胸などを併発しやすい.

・日本での死因は,急性増悪が40%で最も多く,次いで慢性呼吸不全,肺癌であった.

B診断

・十分な問診や身体所見より,

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