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GL薬剤性肺障害の診断・治療の手引き 第2版 2018
治療のポイント
・被疑薬は原則的に投与を中止する.
・重症度に応じて副腎皮質ステロイドを投与する.
・薬剤性肺障害改善後も,被疑薬の再投与は原則的に行わない.
◆病態と診断
A病態
・薬剤性肺障害は,薬剤投与により発症した呼吸器系の副作用の総称である.
・さまざまな病態が存在するが,間質性肺炎の頻度が高い.
・経過,治療反応性,予後などは病態によりさまざまである.
B診断
・薬剤性肺障害の診断は除外診断であり,感染症や肺水腫,原疾患の増悪などを鑑別する必要がある.
・市販薬や健康食品も原因となるので,病歴聴取を十分に行う.
◆治療方針
薬剤性肺障害の治療の基本は被疑薬の中止であり,重症度に応じて副腎皮質ステロイドを投与する.また,日本呼吸器学会の「薬剤性肺障害の診断・治療の手引き 第2版 2018」も参照されたい.
A無症状~軽症(動脈血酸素分圧が80Torr以上)
被疑薬の中止のみで経過観察を行う.
●治療の変更の指標 被疑薬を中止しても病態が進行する場合は,中等症や重症の治療を検討する.
B中等症(動脈血酸素分圧が60~80Torr)
副腎皮質ステロイドの投与を行う.
Px処方例 プレドニゾロン換算で標準体重1kgあたり0.5~1mg/日を投与する.
(標準体重50kgの場合)
プレドニゾロン(プレドニン薬)錠(5mg) 1回5錠 1日1回 朝食後
C重症(動脈血酸素分圧が60Torr未満)
ステロイドパルス療法で治療を開始し,その後副腎皮質ステロイドによる後療法を行う.
Px処方例 下記1)を3日間投与後,2)の投与を行う.
1)メチルプレドニゾロンコハク酸エステルナトリウム(ソル・メドロール薬)注 1回1,000mg 1日1回 点滴静注
(標準体重50kgの場合)
2)プレドニゾロン(プレドニン薬)錠(5mg) 1回5錠 1日