頻度 あまりみない
GL肺胞蛋白症診療ガイドライン2022
治療のポイント
・無症状または呼吸機能障害が軽微な場合,無治療で経過観察をする.
・中等度の労作により呼吸困難を自覚する場合は,労作時のみ在宅酸素療法を導入する.
・軽度の労作や安静時にも呼吸困難がある場合,全肺洗浄を考慮する.
◆病態と診断
A病態
・肺胞内にサーファクタントが蓄積する.
・自己免疫性肺胞蛋白症(APAP:autoimmune pulmonary alveolar proteinosis)では,抗GM-CSF自己抗体により肺胞マクロファージの分化が障害される.
B診断
・胸部高分解能CTで,クレージー・ペービング・パターンがみられる.
・気管支肺胞洗浄または肺生検で,サーファクタントがみられる.
・APAPでは,抗GM-CSF自己抗体が陽性である.
◆治療方針
APAPでは自然寛解する例があるため,無症状や軽症例では経過観察とする.重症例では,全肺洗浄を考慮する.
A軽症および中等症
無症状あるいは呼吸機能障害が軽微(拡散能あるいは労作時酸素飽和度の軽度低下)な場合,自覚症状,呼吸機能検査,画像所見を定期的にみながら無治療経過観察とする.
中等度の労作により呼吸困難を自覚したり酸素吸入が必要であったりする場合は,労作時のみの在宅酸素療法を導入する.
B重症
軽度の労作や安静時にも呼吸困難があり酸素吸入が必要な場合は,全肺洗浄を考慮する.
1.全肺洗浄
①全身麻酔下で,②37℃生理食塩液を用い,③胸部タッピングを併用し,④ダブルルーメン挿管チューブを用いて片肺ずつの洗浄を繰り返す.通常1回1~1.5Lの生理食塩液を用いて,洗浄液が透明になるまで20~30回程度反復洗浄をする.低酸素血症が高度である場合は,体外式人工肺を用いながら行うこともある.
全肺洗浄は,全国でも実施可能な医療機関が限られているため,進行例や重症例はすみやかに専門