頻度 あまりみない
治療のポイント
・臨床像は多彩であり,進行性に肺機能が低下する症例もあれば,進行が緩徐で治療を要さない症例,閉経後に偶発的に発見される症例も存在する.
・mTOR阻害薬であるシロリムスによる薬物治療が必要な症例を適切に選択する.
◆病態と診断
A病態
・リンパ脈管筋腫症(LAM)は,異常な平滑筋様細胞(LAM細胞)が,肺,体軸リンパ系で増殖して病変を形成し,病変内にリンパ管新生を伴う腫瘍性疾患である.
・主として妊娠可能年齢の女性に発症し,肺には多発性の嚢胞が生じる.
・結節性硬化症の肺およびリンパ節病変として発症する場合と,単独で発生する孤発性LAMに分類される.
・女性自然気胸の重要な基礎疾患の1つであり,気胸を繰り返す場合,鑑別に考慮する.
・緩徐に進行し,労作時呼吸困難,咳嗽,血痰,乳び胸水などの症状や所見を呈する.
B診断
・LAMに一致する胸部CT所見があり,かつほかの嚢胞性肺疾患を除外する.
・詳細は,「難治性呼吸器疾患・肺高血圧症に関する調査研究」のホームページを参照されたい.
◆治療方針
LAMの臨床像は多彩であるため,初診時問題となっている症状や病態にfocusし,治療を開始する.
A気胸に対する治療
急性期は肺虚脱度に応じて通常の気胸治療を行う.再発を繰り返す場合には,外科的治療による再発防止策を講じる.酸化セルロースメッシュを使用した全肺胸膜カバリング術は,胸膜癒着を起こさずにLAMの気胸再発を予防できるため有用である.
B長期予後改善のための治療
経時的に気流制限が進行し息切れが出現する,あるいは徐々に増強する場合には,年齢や挙児希望の有無を考慮し,シロリムスの投与を検討する.
Px処方例
シロリムス(ラパリムス薬)錠(1mg) 1回1~2錠 1日1回 食後
!注意 臨床試験では,シロリムスの血中トラフ濃度が5~15ng/mLとなるよう用量が調節されたため,添付文