診療支援
治療

早朝高血圧
morning hypertension
田村功一
(横浜市立大学主任教授・循環器・腎臓・高血圧内科学)

頻度 よくみる(早朝高血圧を含む仮面高血圧は非高血圧を示す一般住民の10~15%)

GL高血圧治療ガイドライン2019

GL高血圧診療ガイド2020

ニュートピックス

・早朝高血圧などを含む薬剤治療抵抗性高血圧に対しては,現在国内外において腎デナベーション~腎交感神経除神経術〔renal sympathetic denervation(RDN)〕の治療効果を検証する治験が進行中であり,今後の展開が注目されている.

治療のポイント

・高血圧は,診察室血圧および家庭血圧のレベルによって診断される.家庭血圧の血圧診断基準が確立されていることから,両測定法の血圧に差がある場合には,家庭血圧による高血圧診断を優先する.

・診察室血圧が140/90mmHg未満の場合で早朝に測定した家庭血圧の平均値が135/85mmHg以上の場合を早朝高血圧と診断する.

・早朝高血圧には夜間高血圧から移行するタイプと,朝方に急峻に血圧が上昇するモーニングサージタイプの2つの型があり,この両者はともに脳心血管病発症のリスクとなる.

・早朝高血圧と診断された場合は,モーニングサージタイプの場合には要因として精神的ストレス,習慣飲酒や睡眠時無呼吸症候群の関与の可能性についての検索と対応が必要である.

・夜間高血圧から移行するタイプの早朝高血圧は,循環血液量の増加しやすい肥満,心不全や慢性腎臓病の病態など高リスク高血圧患者において認められることが多い.

・通常の降圧療法に加えて早朝高血圧を治療標的とした降圧療法を併用することにより,24時間にわたる良好な血圧管理とそれに伴う脳心血管病の抑制効果が期待できる.

◆病態と診断

・早朝高血圧は,家庭血圧自由行動下血圧測定(ABPM:ambulatory blood pressure monitoring)に基づく高血圧のタイプである.診察室血圧レベルと,家庭血圧計やABPMで測定した診察室以

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