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ニュートピックス
・2023年に発表されたISCHEMIA試験7年追跡結果は,内科治療を優先するという治療方針を大きく変えるものではなかった.
治療のポイント
・一般的には厳格なリスク管理による内科的治療を優先する.
・重症な冠動脈病変,心機能低下例は血行再建を考慮する.
・急性冠症候群1年以内は完全血行再建を考慮する.
◆病態と診断
A病態
・無症候性心筋虚血(SMI)とは,冠動脈疾患において客観的な心筋虚血を認めるものの,狭心症などの自覚症状を伴わない病態を指す.
・心筋虚血発作の多くの部分を占め,その存在は予後不良のサインであることが多い.
・CohnのタイプⅠ~Ⅲに分類される.
Type1:心筋梗塞や狭心症の既往のないもの
Type2:心筋梗塞後で胸痛を伴わないもの
Type3:狭心症で同時に認められるもの
B診断
・虚血の診断が必要であり,ホルター心電図や各種負荷検査が用いられる.
・侵襲的な冠動脈造影や冠動脈CTで有意な狭窄が認められた症例で,無症状の虚血が認められることもある.
◆治療方針
症状の有無にかかわらず虚血を改善することが予後の改善に寄与すると考えられたため,血行再建術の適用が常に考えられてきた.しかしISCHEMIA試験で示されたように,狭心症症状の改善においては血行再建が勝るものの,心血管事故の予防において血行再建は内科的薬物療法を優先する場合と大きな差異がないことが明らかになっている.このため,血行再建の適用には十分な配慮が必要である.
A薬物療法
1.脂質低下療法
内科的治療の中心をなす.LDLコレステロール値70mg/dLを目標に管理する.
a.スタチン
Px処方例 下記のいずれかを用いる.
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