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GL急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版)
治療のポイント
・胸痛を訴え,ST上昇が認められないときに,この疾患を考慮する.
・心筋のダメージがない不安定狭心症から,心筋梗塞を合併する非ST上昇型急性心筋梗塞まで重症度は幅広いが,初診時にはわかりにくいので,GRACEリスクスコアなどの評価法を利用する.
・診断には高感度トロポニンを活用する.来院時に重症度を判定し,重症例には積極的に冠動脈造影を行って冠血行再建を考慮する.ST上昇型急性心筋梗塞(STEMI)よりも多枝病変,高齢者が多く,長期予後に関しては不良である.
・重症型では積極的に冠動脈造影を行い,冠血行再建(PCI/CABG)を検討する.
◆病態と診断
A病態
・冠動脈閉塞または高度狭窄により関連領域の心筋が高度虚血もしくは壊死を起こしたが,ST上昇を認めないのが非ST上昇型急性心筋梗塞である.また心筋壊死をきたしていないのが不安定狭心症である.
・冠動脈の病態は同一であり,プラーク破裂により血栓形成ができたために,冠動脈が閉塞の危機にある.
B診断
・病歴:突然発症する胸痛.
・心電図:ST低下や陰性T波などの非特異的な変化.
・心エコー図:領域に心筋の運動の低下.
・トロポニンの上昇:1回目に陰性の場合には3時間後に再度測定し,上昇を認めたら本疾患を考える.
◆治療方針
1か月以内の死亡率が約2割と急性期死亡率の高い病態であり,救命を最大の目標とする.①ガイドラインに基づいたリスク評価を行う.②重症例に対しては冠動脈造影を行う.③冠血行再建法,冠動脈インターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)または冠動脈バイパス術(CABG:coronary artery bypass grafting)を検討する.④血行再建後は2次予防を行う.
Aリスク評価
トロポニン上昇,心電図変
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