診療支援
治療

上室頻拍
supraventricular tachycardia
池田隆徳
(東邦大学教授・循環器内科学)

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GL2020年改訂版 不整脈薬物治療ガイドライン

GL2021年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 不整脈非薬物治療

治療のポイント

・治療法としては,迷走神経刺激,薬物治療,カテーテルアブレーションがある.

・カテーテルアブレーションによる根治率が高い頻拍のため,薬物治療はそれが適応できない場合に選択されることが多い.

・発作時に頻拍を停止させる際には必ず心電図を記録する.その心電図記録が診断につながることが多い.

◆病態と診断

A病態

・頻脈性上室性不整脈の一種であり,房室結節(または心房)が頻拍の維持において重要な役割を担う頻拍である.

・種類としては,①房室結節リエントリー性頻拍(AVNRT:atrioventricular nodal reentrant tachycardia),②房室回帰性頻拍(AVRT:atrioventricular reciprocating tachycardia),③心房リエントリー性頻拍,④洞結節リエントリー性頻拍の4タイプがあり,①と②で全体の90%以上を占める.

B診断

・症状として,動悸発作突然はじまり突然止まることを特徴とする.

・頻拍時に心電図(12誘導心電図,ホルター心電図など)を記録することで診断される.

・心電図において,P波とQRS波が1:1に対応し,QRS幅が洞調律と同様に狭く,規則的な頻拍を呈する.

・AVNRT:房室接合部の二重伝導路,つまり伝導速度の速い本来の房室結節(速伝導路)と伝導速度の遅い遅伝導路との間でリエントリーを形成する.遅伝導路を順伝導し,速伝導路を逆伝導するタイプ(通常型)が多い.

・AVRT:WPW症候群に起因する頻拍で,房室結節と房室間に存在する(伝導速度が速い)副伝導路(Kent束)の間でリエントリーが大きく旋回する.房室結節を順伝導し,副伝導路を逆伝導するタイプ(順向性)が多い

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