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GL不整脈薬物治療ガイドライン 2020年改訂版
GL不整脈の診断とリスク評価に関するガイドライン 2022年改訂版
治療のポイント
・心電図でQRS幅の広い頻拍(wide QRS頻拍)をみた場合,まず心室頻拍を考える.血行動態が破綻している場合は電気的除細動を行う.血行動態が維持されている場合は上室性頻拍との鑑別を行い,薬物治療を検討する.
・心室細動は,心拍出が失われている状態であり,数秒で意識消失,数分で心肺停止にいたるため,直ちに電気的除細動と胸骨圧迫による救命措置が必要である.
・心機能低下例における心室頻拍や心室細動からの救命例では,植込み型除細動器(ICD)植込みの適応となる.特発性心室頻拍ではカテーテルアブレーションが有効である.
・ICD植込みを行った症例でも,発作予防のための抗不整脈薬投与およびカテーテルアブレーション治療は有効である.
◆病態と診断
・ヒス束より末梢の心室から生じる頻拍を心室頻拍という.診断は心電図によってなされ,QRS幅の広い(≧120ms)頻拍が生じた場合は心室頻拍を考える.しかし,上室性頻拍に変行伝導を伴った場合,脚ブロックを伴っている場合はQRS幅の広い頻拍を呈するため,鑑別が必要である.房室解離を認めれば心室頻拍と診断できる.
・持続時間が30秒未満で自然停止するものを非持続性,持続時間が30秒以上または30秒経過する前に血行動態が破綻するものを持続性と呼ぶ.また,単一のQRS波形によるものを単形性,波形が変化するものを多形性心室頻拍と呼ぶ.特に,QT延長に伴う多形性心室頻拍をTorsade de pointes(TdP)とよぶ.
・心室頻拍は陳旧性心筋梗塞や心筋症など,器質的心疾患に合併することが多く,壊死領域などを回路にもつリエントリーによることが多い.特発性心室頻拍のなかで,流出路起源のものは異常自動能または撃発活動により生じ
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