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GL急性・慢性心不全診療ガイドライン(2017年改訂版)
GL2021年 JCS/JHFS ガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療
ニュートピックス
・2022年にAHA(米国心臓協会)から発表された心不全診療ガイドラインでは,肺うっ血の解除を目的に長らく選択されてきた血管拡張薬が推奨クラスⅡbに格下げとなった.過量投与による血圧低下が予後悪化につながる危惧が強調され,高血圧性・冠動脈疾患・僧帽弁逆流などの特定病態を中心に,利尿薬へ追加する形での使用にとどめるように言及された.
治療のポイント
・受診時の収縮期血圧を用いたクリニカルシナリオ(CS)に基づき,酸素化に留意しながら初期対応を行う.
・低心拍出(末梢循環不全)の有無を経時的に判断しつつ,可能な限り十分なうっ血解除をはかる.
・血行動態の改善を確認しながら,基礎疾患や増悪因子を同定し,必要な介入を加える.
◆病態と診断
A病態
・急性心不全とは,心臓に器質的および/あるいは機能的異常が生じて急速に心ポンプ機能の代償機転が破綻し,心室充満圧の上昇や主要臓器への灌流不全をきたし,それに基づく症状や徴候が急性に出現した状態である.
・心ポンプ機能が障害されると,うっ血と低心拍出の2現象が生じうる.これらの有無から分類した4つのプロファイルは,スワンガンツカテーテルを用いたフォレスター分類や,身体所見を用いたスティーブンソン分類として示される.急性心不全の多くは「うっ血(+),低心拍出(-)」(Warm & Wet)である.
・心不全とは,単なる「状態名」にすぎず,同時にその「原因」を追求し,解除策を練る必要がある.多くの急性心不全では,まず心不全という状態をよくしたうえで,その後ゆっくりと原因を検討し介入を加えればよい.ただし,原病介入が最大の心不全治療となる場合や,うっ血解除の過程で容易に低心拍出が露見しや
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