頻度 ときどきみる(20~60症例/人口100万人)
GL感染性心内膜炎の予防と治療に関するガイドライン(2017年改訂版)
ニュートピックス
・感染性心内膜炎(IE)に対する有効性が大規模試験やガイドラインで評価されてはいないが,リネゾリドなど組織移行性の高い抗菌薬が開発された.外科的治療なしでは根治できなかった人工弁感染にも有用性が報告されている.
・診断面では,検出感度が高くない血液培養を補完するために,白血球内の細菌遺伝子をPCRで検出する検討が行われている.
治療のポイント
・①血液培養検査で起因菌を同定できるか,②内科的治療で改善できない心不全があるか,③塞栓症を合併しやすいかで治療方針が決まる.
・IEを生じやすい菌種が検出された場合には,ガイドラインに明示された抗菌薬を投与する.典型的でない菌が検出された場合には,過去のIE治療例を文献検索して奏効した抗菌薬を調べる.使用する抗菌薬に対する最小発育阻止濃度(MIC)を測定して,投与量と投与期間を決定する.
・抗菌薬で感染を抑制できない症例,内科的治療で改善できない心不全,疣腫が大きいなど塞栓症リスクの高い症例では外科的治療が必要となる.外科的治療を行った場合でも術前・後を合わせて,非手術例と同等の抗菌薬投与期間を確保する.
◆病態と診断
A病態
・IEは心血管内膜に感染巣を有する血流感染症である.
・弁膜に感染すると弁機能障害の原因となる.特に,弁逆流が急に悪化すると急性心不全を引き起こし,緊急手術が必要となる.
・心血管内膜の感染巣は疣腫(疣贅)を形成する.疣腫が内膜から剥離し,動脈血流によって終末動脈(側副血行をもたない動脈)内に嵌頓すると塞栓症を発症する.右心系感染では肺動脈塞栓を,左心系感染では脳梗塞を含めた全身の動脈塞栓症を発症する.
・心血管内膜の感染巣は細菌を全身に播種させ,脳動脈瘤などの細菌性動脈瘤や膿瘍を形成する.細菌
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