診療支援
治療

拡張型心筋症
dilated cardiomyopathy(DCM)
北岡裕章
(高知大学教授・老年病・循環器内科学)

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GL心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)

治療のポイント

・左室駆出率の低下した心不全の代表的な原因疾患である.

・心不全治療は,β遮断薬,アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI),ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA),SGLT2阻害薬を適切に使用する.薬物治療に反応が悪い場合,心臓移植を含む非薬物療法を考慮する.

・突然死の危険性にも注意を払う.

◆病態と診断

A病態

・主に①左室の収縮不全と,②左室内腔の拡張を特徴とする疾患群であり,慢性心不全症状を特徴とする.虚血性心疾患や高血圧性心疾患,サルコイドーシスなどの原因の明らかな二次性心筋疾患を鑑別する.原発性拡張型心筋症の20~40%で遺伝子変異が原因と考えられている.

・左室拡大や収縮能の低下が進行し,次第に難治性心不全に至る.本邦の心臓移植の最も多い原因である.

・心室頻拍などの致死性不整脈により,突然死の原因となる.

・心房細動や左室内血栓により,塞栓症をきたすことがある.

B診断

労作時息切れ倦怠感浮腫など心不全症状を疑う症状があれば,身体所見,心電図,胸部X線,ナトリウム利尿ペプチドなどの血液検査や心エコー検査を行う.

・左室拡大と収縮能低下を認め,他の原因が否定されれば原発性拡張型心筋症,明らかな原因が同定できれば二次性拡張型心筋症の診断が確定する.

◆治療方針

 ①心不全治療および左室機能悪化の予防,②突然死予防,③併存症に対する治療,が重要である.「2021年JCS/JHRSガイドライン フォーカスアップデート版 急性・慢性心不全診療」および「心筋症診療ガイドライン(2018年改訂版)」を参考にする.

A心不全治療

1.日常管理

 病状に応じた運動,飲水量や減塩を指導する.疾病管理プログラムを含む包括的治療・ケアである心臓リハビリテーションを施行することが望ましい.

2.薬物療法

 左室駆出率の

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