頻度 あまりみない
Ⅰ.急性心膜炎
◆病態と診断
A病態
・心膜は心臓の外側に密着する臓側心膜と,その外面を覆う壁側心膜からなる.両者は連続し,上方は大血管起始部で下方は横隔膜上でそれぞれ反転しており,心膜腔を形成している.心膜腔には15~50mLの心膜液が存在する.
・急性心膜炎は,何らかの誘因により引き起こされた免疫反応による心膜の炎症が原因であり,誘因因子のなかではウイルス感染が最も多い.誘因となったウイルス感染の診断はペア血清によるウイルス抗体値の測定によるものの,特定できないことも多い.ほかの原因では自己免疫性疾患,代謝性疾患,腫瘍性や,胸部外科手術後や放射線治療後など医原性の頻度も多くなっている.
・症状として,前胸部痛が最も多い.深呼吸や体位により症状が変化する.ウイルス性の場合は上気道炎症状などの前駆症状を伴う.
B診断
・聴診にて心膜摩擦音を聴取する.しかし常時聴取できるわけではなく心膜液貯留が高度になれば消失する.
・心電図ではaVR,V1 誘導を除くすべての誘導で下方に凸のST上昇を認める.またPR部分の低下も特異的な所見である.心エコー図において心膜液貯留はエコーフリースペースとして認められる.大量の貯留はまれであるが,時に心タンポナーデになることもある.
◆治療方針
入院管理を原則とする.特発性およびウイルス性では根本的な治療法はなく,安静とNSAIDsを中心とした薬物治療が主体である.多くは自然治癒するが,20~30%は炎症の再燃および収縮性心膜炎への移行がみられる.心タンポナーデの病態を呈した場合は,心膜腔穿刺およびドレナージを行う.
Px処方例 1)または2)を用いる.
NSAIDs無効例または再発例ではステロイドを考慮する.
Ⅱ.
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