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治療のポイント
・心臓腫瘍はまれな疾患であり,良性腫瘍と悪性腫瘍がある.良性腫瘍が多く,心臓粘液腫,乳頭状線維弾性腫が多い.
・臨床症状は,発熱,倦怠感,関節痛などの全身症状,呼吸苦,失神などの心不全症状,塞栓症などさまざまで,無症状で偶発的に診断されるものもある.
・良性腫瘍は外科的切除により予後は良好である.悪性腫瘍は外科的切除に加え化学療法などが行われるが,一般的に予後不良である.
◆病態と診断
A病態
・心臓腫瘍は原発性腫瘍と転移性腫瘍に分けられる.原発性腫瘍は大まかに良性腫瘍と悪性腫瘍に分けられる.
・原発性心臓腫瘍の75%が良性腫瘍といわれている.その多くが心臓粘液腫であり,乳頭状線維弾性腫が続く.小児においても腫瘍の多くは良性で,横紋筋腫や線維腫が多い(図).
・症状は多岐にわたるが,腫瘍の存在部位,大きさ,脆弱性により異なり,しばしば無症状で偶発的に発見されるものもある.
1)全身性:発熱,関節痛,倦怠感,体重減少など.
2)心不全:腫瘍の存在部位,弁との関連により,閉塞あるいは逆流を呈し,呼吸苦,胸部不快感,失神を呈する.
3)塞栓症:腫瘍の存在部位により肺塞栓,あるいは脳梗塞,心筋梗塞などの塞栓症をきたす.
B診断
・胸部X線や心電図では特徴的な所見は得られない.
・心エコー:心臓腫瘍を疑う場合に,最初に行うべき検査である.部位,大きさ,可動性のほか,血管系の閉塞や,弁の機能障害についても観察する.肥満症例や肺気腫症例では,観察が困難である.経食道心エコーでは,経胸壁心エコーより詳細な観察が可能で,特に弁においては有用である.
・CT:石灰化の有無,縦隔や肺,血管系,冠動脈との関連を観察する.手術のプランニングに重要である.悪性が疑われる場合には,他臓器への転移の有無を確認する.
・MRI:CT同様に,超音波検査で診断されたあとにMRIを施行する.近接臓器への進展のほ